居住用の賃貸物件を事務所として使用した場合
税理士業などでは自宅兼事務所ということがよくあります。
そのとき、居住用の物件について大家さんに内緒で事務所として使用した場合、消費税の取り扱いはどうなるでしょうか。
原則 居住用の賃貸は非課税取引
消費税法上、居住用として賃貸している物件の賃料については、消費税は非課税取引となります。
大家さん側でも、非課税売上として認識されますので、その家賃分の消費税については納税しなくてOKです。
居住用の物件を事務所として使用した場合
居住用として借りた物件を、その契約書を巻き直さずに事務所用に転用した場合はどうなるでしょうか?
転用した月から支払家賃に対して仕入税額控除を適用できるでしょうか?
大家さんと契約は引き続き住宅の貸付になっていますので、大家さん側が家賃を課税売上に変更することはありません、というか消費税を受け取っているという認識もないでしょう。
また税務署としても、普通の居住用のマンションの1室が、事務所として使用しているかどうかなど、踏み込んで調べることもできないでしょう。
ということで、【居住用】として借りた物件について、契約書の巻き直しすることなく勝手に事務所用に転用した場合は、非課税取引のままになります。課税仕入れは認識できません。
もちろん、大家さんと事務所用として契約を結びなおせば、その日以後は課税取引となります。
消費税基本通達6-13-8 用途変更の場合の取扱い
貸付けに係る契約において住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後の当該建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当することとなる。
(注) 貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しないのであるから留意する。