簡易的なキャッシュフローの見方

決算書を作成するときに、キャッシュフロー計算書も一緒に作成している中小企業はほとんどないと思います。

今回は決算書から自分で簡単にキャッシュフローを判断する方法をお伝えします。

 キャッシュフローとは、お金の流れのことです。お金と利益の関係を見ていきましょう。

例えば、サービスの対価として10,000円売上た場合。

この10,000円が現金で入金されれば、①キャッシュフローは10,000円、②利益も10,000円ですが、

この10,000円が現金ではなく売掛金であればどうなるでしょう?売掛金が入金される前に決算が到来したような場合です。

当然10,000円の入金は決算時点では0円なので、①キャッシュフローは0円です。ただし②利益は、上記と同じ10,000円です。

このようにキャッシュフローと利益は必ずしも一致しません。しかし長い目でみると売掛金はやがて現金として回収できます。

 必ずしもキャッシュフローと利益は一致しませんが、上記で見た通り、長い目で見るとこの両者は(粉飾してなければ)イコールになります。

その性質を利用します。

損益計算書の中には減価償却費という費用がありますが、この費用についてはお金が出ていかない経費ですので、利益に足し戻せばどのくらい会社にお金が残ったか大まかな金額を把握することができます。

税引後利益と減価償却費を見るだけなので、5秒で終わります。

この金額(償却前利益と呼びます)で、借入金が返済できるかどうかを考えます。

 こんどは貸借対照表の負債の部を見てみましょう。

決算書によっては、銀行借入金を『長期借入金』のみで処理でしている会社もあるかもしれませんが、

細かく管理している会社であれば、『長期借入金』と『一年以内返済長期借入金』と分けて管理しているかもしれません。

この『一年以内返済長期借入金』とは、決算期から一年以内に返済期日が到来する借入金を指します。

例えば『一年以内返済長期借入金』が500万とあれば、翌期首から翌期末までに500万円キャッシュが出ていきますよ、ということです。

勘定科目を分けていない場合は、借入金返済表から翌1年分の返済額を集計すればOKです。

 償却前利益と一年以内返済額を比較します。

①償却前利益>一年以内返済額

 無理なく返済できる状態です。

②償却前利益<一年以内返済額 かつ 利益は出ている。

 一年間に増えた現金より、返済に出ていく現金のほうが多い状態です。たとえ利益が出ていても、この状態であれば現金は徐々に減っていきます。
ただ借入残高より預金残高が大幅に上回っている場合などであれば心配はないかと思います。

③償却前利益<一年以内返済額 かつ 赤字である。

 この場合は本業でも現金が流出しており、返済でも現金が流出しているので、まずは本業を黒字に持っていくことが必要です。

 この償却前利益と返済の関係は簡単に判断できますので、ひとつも目安として考えて頂ければと思います。

ぜひお手元の決算書で確認してみてください。