決算賞与の損金算入の要件について
当期末が近づいてきたとき、予想以上に利益が出ているときに、従業員に対して決算賞与を検討することがあります。
この決算賞与ですが、その事業年度中に支給すれば問題ないですが、未払賞与として支給が翌事業年度になるときは注意が必要です。
賞与の損金算入時期
・その事業年度内に支給まで完了している場合・・・その事業年度の損金となります。特に難しいことは無いと思います。
・未払賞与として処理した場合
この場合、いつ損金になるかが問題になります。決算賞与で節税をはかる場合、当然その事業年度の損金として処理したいですが、
その場合、下記の要件をすべて満たさなければなりません。
(1) その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
(2) (1)の通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払
っていること。
(3) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
ここで重要なのは(2)の『通知をしたすべての使用人に対し』という言葉です。
3月決算の法人だとします。当期末(3月末)に決算賞与を支給すると決め、賞与XXX/未払金XXX という仕訳を計上します。3月末の従業員数は50人でした。支給日は翌期の4月25日だとします。
この50人に賞与の額を通知しますが、3月末で一人退職しました。翌月4月の支給日に在職していた49人に賞与を支給しました。
これはアウト(当期の損金にできない)です。
『通知をした50人すべての使用人に支給していない(49人にしか支給していない)』からです。
このような場合、退職した従業員に対しても支給することで、当期の損金にすることができます。
支給日までに辞めた従業員には、退職金を出さない会社はありますが、決算賞与で節税をはかる場合、出さないと損金に落ちないので注意が必要です。
これを当期の損金として認めてしまうと、50人に支給する予定で費用計上したが、翌期首にやっぱ支給するのやーめたってなったら脱税できてしますので、このようになっているのだと思います。