消費税差額の分析してますか?
消費税の決算仕訳を入力する際に、雑損失や雑収入に差額が出てきますますが、この差額の原因を分析していますか?
目次
消費税差額の原因(個別対応方式を前提)
①非課税売上対応分と共通対応の課税仕入れのうち控除できなかった部分
これはだれでも理解していると思いますが、消費税の計算上、課税仕入れを全額控除できる場合を除き、原則として非課税売上に係る課税仕入の全額、課税売上と非課税売上に係る課税仕入(いわゆる共通対応の課税仕入)は課税売上割合分しか控除できません。会計上の仮払消費税より税務上控除できる仮払消費税の方が少ないので納税額が全額控除する場合より増加します。そしてその差異は借方雑損失として計上することになります。
②1000円未満切り捨ての差異
これも当たり前の話ですが、消費税の課税標準の計算上1000円未満を切り捨てするために出る差異です。借方、貸方どちらにでるかはわかりません。
③期中の取引で消費税の差額が切り捨てや四捨五入などで生じる差異
会計上は取引のたびに消費税の端数処理をしていますが、申告書を作成する際は、税抜き金額と消費税を合計して、×10/110をするためここでも差異が出ます。
例えば、税抜95円の消費税は9.5円ですが、端数切り捨てしているとすると9円です。この商品を10,000個売った場合、
PLの売上は950,000円。BSの仮受消費税は90,000円(9円×10000)となります。
しかし消費税の申告書上では、課税売上は(割り戻し計算の場合)、一旦税込にもどしてから10/110をするので、
950,000+90,000=1,040,000 1,040,000×10/110=94,545円となります。
ここでBSの仮受消費税と4,545円(=94,545-90,000)の差異が出ています。
この差異も借方貸方どちらにでるか分かりません(切り捨てor切り上げ他色々理由あり)。この差額もどうしようもありません。
④期中の入力間違い。
仕訳では消費税の課税コードで区分していながら、仮払消費税(仮受消費税)に数字が転記されていないなどが原因です。
この差異は訂正仕訳で修正することが必要になります。
消費税の申告書では必ずチェック
消費税の申告書をチェックする際に、個別対応方式なのに、たまに貸方に消費税差額が出ている決算書を見ることがあります。
それを作成した当人に確認しても、特に疑問を抱いていない場合がほとんどですが、消費税の計算の構造がわかっていれば、少なくとも雑損失側に差額がでないことを疑問に思うべきかなと思います。上記①の共通対応のため控除できなかった金額は、手計算で簡単にでますので、決算仕訳の消費税差額がそれと全然違う場合は、その差異を分析する必要があります。上記②の差異は少額ですので考慮しなくてよいですが、③や④は差額が大きくなる可能性があります。
このことを意識していないため、差額が小さければOKと思っているひとも少なくないように思います。
ここを分析するだけでも間違いを大きく減らせますので是非やってみてください。