法人の新規設立の留意点
法人を新規に設立する場合の留意点をいくつか挙げてみたいと思います。
資本金の額
資本金の額はいくらでも構いません。1円からでも設立可能ですが、対外的(金融機関や取引先)にはあまり見栄えが良くないので、数百万からというのが一般的だと思います。
このときに留意することは、消費税の納税義務の点です。資本金が1000万円以上の法人は設立1期目から消費税の課税事業者となります。
消費税の納税義務についてはここでは詳しくは述べませんが、資本金が消費税の納税義務に影響することを理解しておいたほうが良いでしょう。
事業年度が1年未満の場合
設立1期目は事業年度が1年未満になることがよくあります。
このときに気をつけなければならないことは、法人税では12カ月をベースでさまざまな特例が規定されているので、月割りが必要になることがあるということです。代表的なものをあげてみますと
中小企業の軽減税率
中小企業(資本金1億円以下の法人)は年間所得が800万円までは、税率が15%の軽減税率が適用されます。これは年間800万円なので、1期目が6カ月しかない場合は、半分の400万円について15%が適用されます。
減価償却費
減価償却費も通常は1年間で計算されますので、月数で按分する必要があります。年間100万円の償却費も事業年度が6カ月しかない場合は、半分の50万円が償却費となります。
少額減価償却資産の特例
中小企業は30万円未満の少額の減価償却資産について、年間300万円までは経費として処理できます。設立初年度は設備投資が多いと思います。PCやプリンタなど30万未満の資産を購入して、すべて消耗品として処理した場合には、1期目の事業年度の月数には注意が必要です。こちらの当然事業年度が6カ月ならば年間経費処理できる限度額も150万円となります。
上記以外にも交際費の限度額も月割計算が必要になります。
給与などの源泉徴収義務とその納税
会社を設立し、社長として役員報酬をとるときには源泉徴収が必要です。その源泉徴収税額は支給日の翌月10日までに国に納税しなければなりません。忘れるとペナルティが発生します。
しかし、給与を支給する人数が常時10人未満であれば『源泉所得税の納期の特例』をうけ、半年分まとめて納付することができ、事務負担を大幅に減らすことができます。設立1期目から従業員が10人以上いることは珍しいので、この届出は是非出しましょう!
地方税
設立1期目は設備投資だけで赤字であることがよくありますが、赤字だからといって税金が0円かというとそうではなく、地方税には均等割という赤字でもかかる税金があります。資本金の額や従業員数に応じて課税されます。
まとめ
事業年度1年目の決算は意外と落とし穴が多いので慎重に決算を組む必要があります。
是非、弊所にご相談ください!