事業所得か、雑所得か。

個人事業主である自分のやっているビジネス(副業)が、事業所得に該当するのか、雑所得に該当するのかで、損失が発生した際の損益通算に大きな影響があります。

事業所得とは、過去の判例では以下のように定めています。

・自己の計算と危険及び独立性 ・営利性、有償性の有無 ・反復性、継続性の有無 ・それに費やした精神的、肉体的労力の程度 ・人的物的設備の有無 ・活動資金の調達方法 ・その者の職業、経歴、社会的地位、生活状況などの事情などから判断する活動資金の調達方法 ・その者の職業、経歴、社会的地位、生活状況などの事情などから判断する

としています。

雑所得とは、国税庁のHPでは

利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します

とあります。

雑所得はどれにも該当しないものという扱いです。

この通達の最後の注書きには以下のような記載があります。

事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する

さらにその解説では、以下のようになっています。

その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。”

これらのことから、事業所得と主張するには以下のような条件が必要と考えます。

①上記に記載した、『自己の計算と危険及び独立性 ・営利性、有償性の有無・・・・などの事情』に該当すること

②その経済活動の取引を帳簿に記録、保存すること(上記通達では帳簿の保存がない場合は即、雑所得となっています)

③その所得が300万円を超え、かつ主たる収入の10%を超える状況が3年間程度は続くこと

この要件を一つの基準として判断していくことになると思います。これらを満たす副業であれば事業所得と判断しても差し支えないと思います。