特別代理人制度について
未成年者が相続人となる場合、法律上の制約により、遺産分割協議や相続税の申告手続きにおいて「特別代理人」を選任する必要が生じることがあります。例えば、夫が亡くなり、法定相続人が妻と未成年の子という場合、妻と子はどちらも遺産をもらう立場なので利害が対立します。この制度は、未成年者の権利を保護し、利益相反を防ぐために設けられています。
特別代理人制度の概要
未成年者の法律行為の制限: 未成年者は単独で法律行為を行うことができません。そのため、親権者や未成年後見人が代理することが一般的です。
利益相反の問題: 親権者が相続人である場合、未成年者と親権者の間で利益が相反する可能性があります(例: 親権者が多くの遺産を取得する場合)。このような場合、親権者は未成年者を代理することができません。
特別代理人の選任: 利益相反がある場合、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。特別代理人には、親族や弁護士、司法書士などが選ばれることが一般的です。
特別代理人の役割
・遺産分割協議書の作成、押印などを未成年者に代わり行います。
・相続登記手続きや預金引き出しなど相続手続きを代わりに行います。
特別代理人選任の手続き
申立人: 親権者や利害関係者が家庭裁判所に申し立てを行います。
必要書類: 未成年者の戸籍謄本、親権者の戸籍謄本、特別代理人候補者の住民票など。
費用: 収入印紙代(通常800円)や郵便切手代が必要です。
上記以外に遺産分割協議書の案も必要となります。遺産の分け方があまりにも未成年者にとって不利な場合などは、特別代理人選任の申し立てが不受理の可能性もあります。ただそのように分けざるを得ない理由がある場合(妻が多く財産を引き継ぐが、同時に負債も多く引き継いでいる。子供の将来の学費等のために親が多めに相続するなど)は申立書に記載することで家庭裁判所に受理されやすくなります。