インボイス制度と届出の特例について
インボイス制度が始まって約1年半経過しましたが、インボイス制度をやめたい、簡易課税を選択したいなどの相談を受けることがあります。その際の取り扱いをまとめました。
インボイス制度登録の原則と特例
原則
免税事業者が登録を受ける場合、まず課税事業者となる必要があります。ですので、まず課税事業者選択届出書を提出して、それと同時にインボイスの登録申請をする必要があります。
特例
課税事業者になるタイミングに柔軟性を持たせるため、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間においては、課税事業者選択届出書の提出を不要とし、課税期間の途中で登録することができる経過措置が設けられています。
2年縛りの適用について
課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、【課税事業者選択不適用届出書】を提出できません。つまり2年間は継続して課税事業者でいる必要があります。いわゆる2年縛りです。
免税事業者が登録申請の提出のみでインボイス発行事業者である課税事業者になった場合には、上記と同様に2年間は継続して課税事業者となります。インボイス取止めの届出をしても、インボイス番号がなくなるだけで納税義務は消滅していませんので、2年間は申告が必要になります。
簡易課税の届出の特例
簡易課税は事前に届出が必要ですが、令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間において登録する免税事業者が簡易課税を選択しようとする場合、そのインボイスの登録日の属する課税期間に【簡易課税制度選択届出書】を提出したときは、その課税期間の初日の前日に提出したものとみなされ、その提出した課税期間から簡易課税を適用することができます。この場合【簡易課税制度選択届出書】にこの特例を受ける旨を記載する必要があります。
①R5.10.1の属する課税期間 | ②①の後R11.9.30の属する課税期間 | ③②の後の課税期間 | |
課税期間の途中での登録 | できる | できる | できない |
課税事業者選択届出書 | いらない | いらない | いる |
課税事業者2年縛り | なし | あり | あり |
簡易課税の届出 | あり | あり | なし |
インボイスの取止め
本来、基準期間等で判断すれば免税事業者となる事業者でインボイス制度により課税事業者となっている者が、インボイス制度をやめて免税事業者に戻りたいときは、インボイスの【登録取消届出書】を提出する必要があります。
その届出の提出期限は、翌課税期間の初日から起算して15日前の日(※)までに提出すれば翌課税期間の初日にインボイス取止めとなります。
翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎてしまった場合は、翌々課税期間からインボイス取止めとなります。
課税事業者となるときに【課税事業者選択届出書】を提出している事業者は、インボイスを取止め免税事業者に戻りたいときは、上記に加え、その課税期間(免税事業者となりたい課税期間)開始の日の前日までに【課税事業者選択不適用届出書】を提出する必要があるのは言うまでもありません。
※【翌課税期間の初日から起算して15日前の日】が日曜日、祝祭日、土曜日又は12月29日、30日、31日であったとしてもこれらの日の翌日とはなりません。
ややこしいので余裕をもって、少なくとも一月前までに提出したほうがベターですね。