法人と役員間で固定資産の譲渡をした場合①
法人から役員へ、資産を譲渡した場合について考えます。
目次
法人から役員へ無償で資産を譲渡したら(時価1000 簿価600の資産)
法人側の処理
○仕訳
①役員賞与 1,000 / 資産 600
②譲渡益 400
①は時価で役員賞与とされ、損金不算入となります。②の譲渡益は時価と簿価の差額です。したがって法人税の対象は①損金不算入となった1,000と②譲渡益400にかかってきます。ダブルパンチです。しかも役員賞与は源泉徴収と対象となります。
また課税事業者の場合、消費税も課税されます。
消費税の【みなし譲渡】に該当し、その資産を時価で譲渡したものとみなされ課税されます。つまりこの例では1000に対し消費税100(10%)が課税されるということです。
資産が【棚卸資産】の場合は、【仕入価額】 or 【販売対価の50%】の高い方を課税標準とします。
役員側の処理
財産をもらった役員は役員賞与なので、所得税及び住民税の対象となります。
法人から役員へ著しく低い価額(時価の50%未満)で資産を譲渡したら(時価1000 実際対価400 簿価600の資産)
法人側の処理
①仕訳
現金 400 / 資産 600
①役員賞与 600 ②譲渡益 400
これも上記と同様で時価1000と実際対価400の差額である①は損金不算入、②の譲渡益と合わせて法人税が課税されます。
消費税の【低額譲渡】に該当するため、時価に対して課税されます。
役員側の処理
所得税及び住民税の対象となります。
法人から役員へ時価よりも高額な価額で資産を譲渡したら(時価1000 譲渡対価1200 簿価600の資産)
法人側の処理
①仕訳
現金 1000 / 資産 600
譲渡益 400
現金 200 / 受贈益 200
譲渡益と受贈益に対して法人税が課税されます。
また同族会社の場合、株主の価値増加分について贈与税が株主に対して課税されます。役員が多く対価を支払ったため、その分法人の現金が増加し株価を押し上げたと考えます。
消費税は対価である1,200について課税されます。
役員側の処理
課税なし
まとめ
役員と法人間の取引はその金額をいくらにするかがポイントとなりますので、売買する前に専門家にご相談ください。