相続があった場合のインボイスの効力について
適格請求書発行事業者である個人事業主が死亡し、その事業を相続人が引き継いだ場合、インボイスの届出の効力はどうなるのでしょうか。
目次
被相続人の適格請求書登録の効力
被相続人のインボイス登録の効力は、相続人が事業を引き継ぐかどうかにかかわらず一定期間後に失効します。
事業を相続した相続人がいない場合
下記のいずれか早い日に失効
・被相続人の死亡日の翌日から4か月を経過した日
・適格請求書発行事業者の死亡届出書の提出日の翌日
事業を相続した相続人がいる場合
相続人のみなし登録期間の末日の翌日以後に効力を失う
みなし登録期間中は相続人はインボイスを発行できる?
みなし登録期間とは
相続があった日の翌日から下記のうちいずれか早い日までの期間
・相続人が適格請求書の登録を受けた日の前日
・被相続人の死亡日の翌日から4か月を経過する日
インボイスの登録事業者である被相続人の事業を、相続人が引き継いだとたんにそのインボイスが失効すると、相手方が仕入税額控除を突然適用できなくなります。そのようなことが無いように一定期間は被相続人のインボイス番号を相続人が使用することで、相続人をインボイス事業者とみなすことができます。
また相続人にとっては、相続で事業を引き継いだ場合の納税義務の免除の規定云々にかかわらず、インボイス事業者の事業を引き継いだ場合には、みなし登録期間については課税事業者として申告の義務が発生します。
ここで注意する点は、相続人がもともと自分の事業を営んでいる場合で、かつ免税事業者であった場合でも、相続後のみなし登録期間は自分の事業の売上についても消費税の申告義務が生じるということです。
課税事業者が登録する場合
被相続人の前々年において課税売上高が1000万円を超えている場合、相続人は相続のあった日の翌日から課税事業者になります。このとき課税事業者になった相続人がインボイスの登録申請をする場合、登録希望日からではなく登録の通知を受けた日からしかインボイス事業者にはなれません。※免税事業者は登録希望日からインボイス事業者になれる。
棚卸資産の調整
免税事業者であった相続人が、みなし登録期間から課税事業者になった場合、その前日において有する免税事業者時代に仕入れた棚卸資産については、仕入税額控除を適用できます。※原則課税の場合のみ。