会社員で副業収入が300万円以下は『事業所得』ではなく『雑所得』→帳簿の有無で判断に修正?

副業収入が300万円以下の場合は雑所得とする通達改正案

令和4年8月1日に国税庁より所得税通達改正案が発表されました。

主たる収入ではない収入(サラリーマンの副業など)が300万円以下の場合、事業所得ではなく雑所得となる可能性が高まりました。

これ改正が成立すれば2022年1月の収入から適用となります(申告は2023年3月)

※2022年10月7日追記
国税庁が10月7日に公表した修正案は「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば事業所得にできる」。300万円という金額で線引きするのではなく、帳簿の有無で区分することになりそう。

事業所得とは

そもそも事業所得の定義はどのようなものでしょうか?

最高裁の判例では、『自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務に当たるかどうか』で判断するのが相当とされています。

要は
『自分でリスクを負って商売しているか?』
『利益の獲得のために行っているか?』
『継続して行う意思があるか?』
『第三者が見ても【商売】と思うか?』
ということだと思います。

副業は事業所得になるか?

事業所得であれば、損益通算や青色申告等別控除など優遇措置がありますが、雑所得と認定されてしまうとそれらの優遇措置は適用できなくなります。

副業で生じた損失を事業所得の損失として計上し、給与所得と損益通算をして節税を図る、というスキームは使えなくなりますが、そもそもわざと損失を生じさせて損益通算を狙っているような場合は、上記の事業所得の定義の『利益の獲得のために行って』いないため雑所得となるのは当然でしょう。

真面目に副業としてされている場合は、今回の改正により収入が300万円以下のときは、雑所得となり青色申告特別控除が適用できなくなるので税負担は増加します。

では副業収入が300万円超のときは、自動的に事業所得になるのかという話ですが、これは今まで通り、副業の実態により事業所得か雑所得かの判断が必要になるとのことです。

特に反証がない限り雑所得と扱う

この通達には『その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、”特に反証がない限り”、雑所得と取り扱う』とあります。

この『特に反証のない限り』ですが、毎期事業所得で申告していたが、新型コロナの影響など特殊な事情で300万円以下になったような場合は、引続き事業所得でもいいようです。

ただ、毎年300万円超の副業収入があるが、特殊な要因ではなくたまたま300万円以下になったような場合は、雑所得になってしまうのかどうか、今の時点ではわかりませんが、そのあたりは本業と副業の関連性や副業への投下時間など総合的な判断が必要になるのではと考えます。

ですので副業収入300万円以下でも、自分でリスクを負って、時間も大量に投下し、利益も生み出しているので、自信をもって事業所得だといえる場合は、事業所得に該当する可能性はゼロではないと思います。

まとめ

ひとまず300万円という金額基準ができたので、判断はしやすくなったと感じます。ただご自身で申告される場合、事業所得か雑所得かの判断はなかなか難しいように思いますので、税理士に聞いてみるのもありかと思います。